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書誌情報

Vol.59 No.1 January 2011

ケーススタディ・第16回抗菌薬適正使用生涯教育セミナー

重症尿路感染症の1例

橋本 次朗1), 松川 雅則2), 高橋 聡1), 塚本 泰司1)

1)札幌医科大学医学部泌尿器科
2)滝川市立病院泌尿器科
3)奈良県立医科大学感染症センター

要旨

 糖尿病患者では細胞性免疫の低下や好中球機能の低下など,複合的な要因による易感染性がみられる。このため,感染症そのものに罹患しやすくなるだけでなく,罹患した感染症がしばしば重症化する。糖尿病患者で多くみられる特徴的な感染症の一つが気腫性の感染症で,そのうちの一つが本症例の気腫性腎盂腎炎であり,もう一つが気腫性胆管炎・胆嚢炎である。これらの気腫性感染症は,ガスを産生する微生物(Clostridium属や腸内細菌属など)の関与も重要であるが,それに加えて血管病変を基礎とした胆嚢壁・膀胱壁などの虚血と壊死も関与するとされている。このような気腫性感染症では,速やかな画像評価とドレナージ,場合によっては臓器の摘出が必要である。基礎疾患のある胆道系感染症や尿路系感染症では,このように速やかな画像的な評価と外科的処置が重要となることを知っておく必要がある。

別刷請求先

北海道札幌市中央区南1条西15丁目

日化療会誌 59 (1): 38-40, 2011