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書誌情報

Vol.59 No.2 March 2011

総説

薬剤耐性菌感染症に対する予防・治療戦略

平松 和史1), 門田 淳一2)

1)大分大学医学部附属病院感染制御部
2)大分大学医学部総合内科学第二

要旨

 近年の薬剤耐性菌の蔓延はきわめて深刻である。多剤耐性緑膿菌や多剤耐性アシネトバクターなど現在ある抗菌薬での治療が困難な病原体による感染症が出現し,今後もこうした耐性菌感染症の増加が懸念される。薬剤耐性菌の増加を可能な限り遅延させていくためには院内感染対策や抗菌薬の適切な使用が重要である。しかしながらこのような現在取りえる対応だけでは,薬剤耐性菌に対する戦略として十分とは言えない。中期的には新しい抗菌薬やβラクタマーゼ阻害薬の開発,また現在は使用されていないポリペプチド系薬やその誘導体の開発,上市が望まれる。長期的戦略としてはワクチンや受動免疫である抗体など抗菌薬療法に頼らない新たな戦略も必要である。今後の薬剤耐性菌対策にはこれまでの抗菌薬開発という戦略だけでなく,新たな発想での戦略が求められている。

Key word

drug-resistance, infection control, PK-PD, biofilm, vaccine

別刷請求先

大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1

受付日

平成23年2月8日

受理日

平成23年2月15日

日化療会誌 59 (2): 151-157, 2011