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書誌情報

Vol.59 No.2 March 2011

短報

ブレイクポイント・チェッカーボードプレートによる多剤耐性緑膿菌感染症に対する治療薬選択のためのスコア化による評価

小栗 豊子1), 石井 良和2), 三澤 成毅3), 舘田 一博2), 奥住 捷子4), 吉田 敦4), 塚原 みゆき5), 大石 毅5), 馬場 勝6), 米山 彰子6), 住友 みどり7), 満田 年宏7), 森 慎一郎8), 柴山 明義9), 中森 祥隆9), 後藤 美江子10), 森屋 恭爾10), 佐藤 智明11), 大曲 貴夫12), 山口 惠三2), 抗菌薬併用療法研究会

1)医療法人 鉄蕉会亀田総合病院
2)東邦大学医学部微生物・感染症学講座
3)順天堂大学医学部附属順天堂医院
4)獨協医科大学病院
5)東京医科大学茨城医療センター
6)国家公務員共済組合連合会虎の門病院
7)公立大学法人 横浜市立大学附属病院
8)独立行政法人 国立がん研究センター中央病院
9)国家公務員共済組合連合会三宿病院
10)東京大学医学部附属病院
11)静岡県立静岡がんセンター(現 山形大学医学部附属病院)
12)静岡県立静岡がんセンター

要旨

 国内8施設において2003~2006年に各種臨床材料から分離された63株のmultidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa(MDRP)を用いて,ブレイクポイント・チェッカーボード(B・C)プレートによる抗菌薬の併用効果判定に対してスコア化の検討を行った。今回用いたMDRPは,ceftazidimeとmeropenemに対して128 μg/mL以上の最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration:MIC)を示す菌株はそれぞれ90%および73%であった。さらに,供試菌株の86%がaztreonamに,100%がciprofloxacinに,89%がamikacinに対してClinical and Laboratory Standards Instituteのドキュメントに記載された耐性のクライテリアに属していた。本検討におけるスコア化に際しては,菌の発育阻止を認めたウェルが(1)1カ所あればスコア1,(2)2カ所あればスコア2,(3)3カ所あればスコア3,(4)全4ウェルにおいて菌の発育阻止が認められた場合をスコア4とした。なお,4ウェルすべてに菌の発育を認めた場合はスコア0とした。合計スコアは(1)それぞれのスコア×当該菌株数値,(2)同一の抗菌薬組み合わせ時のスコアを合計して算出した。Colistinと他薬剤との組み合わせ時のスコアはいずれも高かった(平均スコア:≥2.84)が,組み合わせによる効果を示すものではなかった。Amikacinは,piperacillin(平均スコア:0.6)およびaztreonam(平均スコア:0.56)との組み合わせ時の平均スコアが高値を示した。したがって,今回の収集した菌株に対しては,amikacinとpiperacillinあるいはamikacinとaztreonamが有用である可能性が示された。B・Cプレートを用いて得られた薬剤感受性結果をスコア化して集計・解析することで,同一施設における経年的な比較や複数の施設における比較が客観的且つ簡便に行えることが期待される。

Key word

B・C plate, multidrug-resistant P. aeruginosa, susceptibility testing, scoring analysis

別刷請求先

千葉県鴨川市東町929

受付日

平成22年11月10日

受理日

平成23年1月5日

日化療会誌 59 (2): 172-176, 2011