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書誌情報

Vol.59 No.S-1 May 2011

原著・臨床

健康成人男性を対象としたlevofloxacin注射剤による注射部位反応軽減策の検討

柴 孝也1), 南谷 進市2), 門間 智之3), 深瀬 広幸4)

1)東京慈恵会医科大学
2)第一三共株式会社研究開発本部
3)株式会社インフォワード開発部
4)財団法人 メディポリス医学研究財団シーピーシークリニック

要旨

 Levofloxacin(LVFX)注射剤の第I相試験で,一過性の注射部位反応が高頻度に認められたため,今回,LVFX注射剤の溶解液(5%ブドウ糖液または生理食塩液),薬液濃度(5 mg/mLまたは2.5 mg/mL),点滴時間(60分間または120分間)を変え,4種類の投与方法を用いてLVFX注射剤による注射部位反応の軽減策を探索的に検討した。
 LVFX濃度・点滴時間・溶解液別の注射部位反応の発現頻度は,5 mg/mL・60分・5%ブドウ糖液では88.9%(8/9名),5 mg/mL・60分・生理食塩液では100%(9/9名),2.5 mg/mL・60分・生理食塩液では77.8%(7/9名),2.5 mg/mL・120分・生理食塩液では66.7%(6/9名)であった。いずれの投与方法の注射部位反応においても,大部分は点滴開始30分後までに発現し,点滴終了1時間後までに消失した。また,いずれの事象も処置は必要とされず,投与中止にいたった事象は認められなかった。
 いずれの投与方法でもLVFX注射剤による注射部位反応が高頻度に認められたため,明確な注射部位反応の軽減策を見出すにはいたらなかった。そのなかで,溶解液が生理食塩液の場合に,薬液濃度を低くする(LVFX濃度:2.5 mg/mL),あるいは点滴を緩徐に行う(点滴時間:120分)投与方法で,発現件数が低下する傾向が示唆された。本試験で認められた注射部位反応はいずれも一過性で軽度の局所反応であり,投与中止にいたる有害事象ではなく,臨床評価を行うに際し注意すべき事象であるものの,本薬剤の忍容性に重大な影響を与えるものではないと考えられた。ただし,従来の注射用抗菌剤同様,本薬剤の投与によりショックおよびアナフィラキシー様症状を引き起こす可能性があることから,投与に際しては「抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン(2004年版)」に準じた問診・観察を行う必要があろう。

Key word

levofloxacin injection, injection site reaction

別刷請求先

東京都港区西新橋3-25-8

受付日

平成22年11月10日

受理日

平成23年4月4日

日化療会誌 59 (S-1): 10-17, 2011