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書誌情報

Vol.59 No.4 July 2011

原著・臨床

病院薬剤部を対象とした抗菌薬皮内反応に関する実態調査

木津 純子1), 山川 佳洋1), 前澤 佳代子1), 寺島 朝子1), 吉田 正樹2), 堀 誠治2)

1)慶應義塾大学薬学部実務薬学講座
2)東京慈恵会医科大学感染制御部

要旨

 2004年9月,厚生労働省の指示により,長年にわたり注射用抗菌薬の添付文書に記載されていた「事前に皮膚反応を実施することが望ましい」あるいは「事前に皮内反応をすること」などの記載が削除され,アレルギー反応が発生する危険性があること,アレルギー反応発症に対してはいち早く対応することなどが記載されるにいたった。しかしながら,現在でも注射用抗菌薬の皮内反応液は依然として製造され,医療施設に届けられている。今回,全国の病院薬剤部を対象に皮内反応実施および皮内反応液の保管に関するアンケート調査を実施した。2010年3月,全国有床診療施設のなかから,地域別,病床数別に抽出した1,000施設の薬剤部宛に書き込み式のアンケート用紙を郵送した。448施設より回答が得られ,皮内反応を原則中止しているのは346施設,医師の判断や患者のアレルギー歴により実施しているのは32施設,基本的に実施25施設であった。病床数の少ない施設,ICTのない施設での実施率が高かった。皮内反応液を常備しているのは158施設で平均常備品目数は12.6品目であった。また,54施設が必要に応じて取り寄せており,過半数の薬剤部が皮内反応液を取り扱い,多くの問題を抱えていることが認められた。(社)日本化学療法学会からも,“アナフィラキシーショックを予知する手段としての皮内反応は1日も早く中止すべきである”と提言されている。製薬企業にも働きかけ,中止への動きを支援する必要性があろう。

Key word

drug allergy, intracutaneous reaction test, questionnaire

別刷請求先

東京都港区芝公園1-5-30

受付日

平成23年4月15日

受理日

平成23年5月17日

日化療会誌 59 (4): 366-373, 2011