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書誌情報

Vol.59 No.4 July 2011

短報

心疾患がアルベカシンの血中薬物動態に与える影響

石田 茂伸1), 山崎 圭一2), 梅田 喜亮3), 前田 佳代1), 大島 利夫4), 中井 由佳1)

1)ベルランド総合病院薬剤部
2)同 外科・乳腺外科
3)同 呼吸器内科
4)同 小児科

要旨

 われわれは心疾患がArbekacin(ABK)の薬物動態に与える影響をレトロスペクティブに検討した。当院で入院中にMRSA感染症の治療のためABKの投与を受けた患者71例を対象とした。そのうち,基礎疾患に心疾患をもたない非心疾患群は41例で心疾患をもつ心疾患群は30例であり,最小二乗法を用いてABKの薬物動態パラメータを算出し比較検討した。非心疾患群と心疾患群とでABKの薬物動態パラメータを比較したところ,心疾患群においては非心疾患群よりABKの消失速度定数(0.159±0.0560 vs. 0.199±0.0777 hr-1〔平均値±標準偏差〕,P<0.05)およびクリアランス(0.0581±0.0300 vs. 0.0731±0.0304 L/hr/kg,P<0.05)が有意に低くなった。一方,臨床検査データにおいては両群間でCcrに有意な差はみられなかった(80.5±16.0 vs. 74.7±14.6 mL/min,P=0.304)。
 本研究の結果,基礎疾患に心疾患をもつ患者ではABKのクリアランスが低下する可能性が示唆された。

Key word

arbekacin, cardiac disease, pharmacokinetics

別刷請求先

大阪府堺市中区東山500-3

受付日

平成23年3月10日

受理日

平成23年6月7日

日化療会誌 59 (4): 374-378, 2011