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書誌情報

Vol.59 No.4 July 2011

市販後調査報告

B型肝炎ワクチン(ヘプタバックス®-II)接種後のHBs抗体陽転確認状況に関するアンケート調査

上田 将樹1), 村上 恭子2), 小村 水脈3), 池田 理恵2), 横溝 浩二2)

1)MSD株式会社ワクチンマーケティング
2)同 ファーマコビジランス領域
3)同 医薬情報部ワクチンチーム

要旨

 B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus;HBV)感染予防は,国民の福祉向上において大きな課題の一つであり,そのなかでB型肝炎ワクチンは重要な役割を果たしている。2010年4月にB型肝炎ワクチンの添付文書が改訂され,用法・用量に関連する接種上の注意として,「本剤の3回目接種1~2箇月後を目途に抗体検査を行い,HBs抗体が獲得されていない被接種者には追加接種を考慮すること。」が追記された。そこで,B型肝炎ワクチンの使用実態下における抗体確認の実態および添付文書改訂による医療従事者の認識の変化について把握する目的で,アンケート調査を実施し,105施設から有効回答を得た。B型肝炎ワクチンを3回接種後に抗体陽転を確認している施設は64%であった。このうち,69%は化学発光イムノアッセイ(Chemiluminescent immunoassay;CLIA)法により抗体価を確認しており,56%が3回目接種後適切な時期(1~2カ月後)に抗体を測定していた。また添付文書改訂を受け,抗体測定を適切な時期に行っていないと答えた施設に対し今後の方向性について尋ねたところ,43%の施設が主に「抗体測定のための採血を健康診断の際に行うため」との理由から,今後も抗体測定を適切な時期に行うことは難しいと回答した。また,陽転化がみられなかった被接種者に対する追加接種の実施状況について確認したところ,半数近い47%の施設ではヘプタバックス®-II追加接種を行っていなかった。これらの施設に対し,今後の方向性を尋ねたところ,何らかの方法(他のB型肝炎ワクチン接種等)で「追加免疫」を行う意思が確認された施設を含め,「追加免疫」施行を考えているとした施設は86%であった。以上の結果より,添付文書改訂は抗体陽転確認および追加免疫の重要性の認知度の改善に一定の効果を示すと考えられる。

Key word

hepatitis B, vaccine, antibody, questionnaire

別刷請求先

東京都千代田区九段北1-13-12 北の丸スクエア

受付日

平成22年9月21日

受理日

平成23年5月17日

日化療会誌 59 (4): 379-385, 2011