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書誌情報

Vol.59 No.5 September 2011

原著・臨床

沖縄県における抗インフルエンザ薬の使用状況に関する市場調査とその要因に関するアンケート調査

砂川 智子1, 2), 比嘉 太1), 神村 武之3), 宇野 司2), 藤田 次郎1)

1)琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学(第一内科)
2)琉球大学医学部附属病院薬剤部
3)沖縄県薬剤師会

要旨

 2010年に,新たに2剤のノイラミニダーゼ阻害作用をもつ抗インフルエンザ薬が発売され,現在,日本では4種類の薬剤が使用可能となった。われわれは,4つの抗インフルエンザ薬の市場調査を実施し,また経口薬であるoseltamivir,吸入薬であるzanamivir,laninamivirの計3種類の薬剤については,薬局における薬剤の使用状況,および薬剤選択の要因を探ることを目的に,沖縄県内の薬局に対してアンケート調査を行った。シーズンごとに,抗インフルエンザ薬の使用状況(売上高ベース)を調査したところ,2008~2009シーズンと比較して,2009~2010シーズンにおいて,zanamivirに比して,oseltamivirの比率が増加していた。また2010~2011シーズンにおいては,zanamivir,およびoseltamivirの比率が低下し,laninamivirの比率が増加していた。一方,注射剤であり,重症例に使用される傾向のあるperamivirは2010~2011シーズンにおいても2%の比率にとどまった。アンケート調査で,処方割合が多い薬剤を調査したところ,3薬剤すべてを応需している113薬局で,1位をoseltamivirとしたのは75施設,1位をlaninamivir 34施設,1位をzanamivir 4施設であった。次に服薬指導しやすいと感じている薬剤を169薬局で調査したところ,1位をoseltamivirとしたのは138施設,1位をlaninamivir 29施設,1位をzanamivir 2施設であり,oseltamivirが他の2薬剤と比較して服薬指導しやすいことが伺えた。抗インフルエンザ薬の種類が増えたことにより,市場が大きく変化していることが明らかとなった。今後,予防投与の適応も含め,抗インフルエンザ薬の特色を理解して使用することが重要であると考えられた。

Key word

influenza, anti-influenza drug, marketing research, questionnaire survey

別刷請求先

沖縄県中頭郡西原町字上原207

受付日

平成23年4月13日

受理日

平成23年7月5日

日化療会誌 59 (5): 486-494, 2011