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書誌情報

Vol.59 No.5 September 2011

ケーススタディ・第18回抗菌薬適正使用生涯教育セミナー

非結核性抗酸菌症と肺アスペルギルス症を合併し薬物相互作用により薬剤選択に難渋した1例

小川 拓1), 宇野 健司1), 笠原 敬1), 三笠 桂一1), 高倉 俊二2), 森田 邦彦3)

1)奈良県立医科大学感染症センター
2)京都大学医学部附属病院検査部・感染制御部
3)同志社女子大学薬学部臨床薬剤学研究室

要旨

 抗抗酸菌活性,あるいは抗真菌活性をもつ薬剤にはRFPやCAM, ITCZなどCYPを介して代謝される薬剤が数多くある。RFPはブドウ球菌による心内膜炎や肺炎球菌性髄膜炎などの重症感染症において,併用薬としてガイドラインなどでも推奨されてきた。近年では人工関節感染症やMRSA肺炎,複雑性皮膚軟部組織感染症などにおいてもその併用薬としての有用性が報告されている。一方でRFPそのものによる肝機能障害などの副作用や前述の他薬剤との相互作用によるさまざまな薬剤の血中濃度の上昇・低下が懸念される。加えて,肺結核などが(診断されずに)存在した場合,RFP耐性結核菌の選択なども危惧される。
 本症例のような抗酸菌感染症や真菌感染症では必然的に多数の薬剤を使用せざるをえない状況が多く,各薬剤の必要性,メリット・デメリットを十分に勘案したうえで,投与中にはさまざまな薬剤の体内動態について医師・薬剤師間で十分に検討を行い,必要に応じて血中濃度測定を行うべきである。

別刷請求先

奈良県橿原市四条町840

日化療会誌 59 (5): 512-515, 2011