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書誌情報

Vol.59 No.6 November 2011

原著・臨床

Levofloxacin 500 mg 1日1回投与の尿路性器感染症に対する臨床効果と前立腺組織移行性

安田 満1), 荒川 創一2), 石原 哲3), 伊藤 晋4), 彦坂 幸治5), 源吉 顕治6), 原 章二7), 伊東 健治8), 川井 修一9), 西村 敬史10), 酒本 貞昭11), 高橋 康一12), 藤澤 正人2), 出口 隆1), 松本 哲朗13)

1)岐阜大学大学院医学系研究科医科学専攻病態制御学講座泌尿器科学分野
2)神戸大学大学院医学研究科外科系講座腎泌尿器科学分野
3)木沢記念病院泌尿器科
4)あいクリニック
5)彦坂病院泌尿器科
6)社会保険神戸中央病院泌尿器科
7)原泌尿器科病院
8)泌尿器科いとうクリニック
9)かわい泌尿器科クリニック
10)西村泌尿器科
11)中村病院泌尿器科
12)福岡新水巻病院泌尿器科
13)産業医科大学泌尿器科

要旨

 Levofloxacin(LVFX, クラビット®)500 mg 1日1回投与の尿路性器感染症に対する有効性および安全性,LVFX 500 mg単回投与時の前立腺組織中への移行性を,それぞれ製造販売後臨床試験にて検討した。
 尿路性器感染症の臨床試験では,急性単純性膀胱炎,複雑性膀胱炎,非淋菌性尿道炎(クラミジア・トラコマティス性),急性細菌性前立腺炎および急性精巣上体炎(細菌性およびクラミジア・トラコマティス性)を対象に,LVFX 500 mgを1日1回投与した。投与期間は疾患に応じて3日間,7日間又は14日間とした。有効性の評価は,「尿路性器感染症に関する臨床試験実施のためのガイドライン―第1版―」に準拠した。また,前立腺組織中への移行性を検討する試験では,前立腺肥大症のために経尿道的前立腺切除術が予定されている患者にLVFX 500 mgを術前に単回経口投与し,前立腺組織および末梢血液中のLVFX濃度を測定した。
 尿路性器感染症の臨床試験では,主要評価項目は投与終了5~9日後(細菌性)又は投与終了2~4週後(クラミジア・トラコマティス性)の細菌学的効果の有効率とした。各疾患の有効率は,急性単純性膀胱炎で97.4%(37/38),複雑性膀胱炎で82.9%(29/35),非淋菌性尿道炎で84.8%(28/33)であり,急性細菌性前立腺炎は2例中2例が有効,急性精巣上体炎は5例中4例(クラミジア・トラコマティス性の1例は有効)が有効であった。副作用の発現率は14.2%(20/141)であり,重篤又は重度な副作用は認めなかった。
 前立腺組織への移行性を検討する試験では,LVFXの前立腺組織/血漿中濃度比(mean±SD)は1.16±0.26であった。
 以上より,LVFX 500 mg 1日1回投与は,尿路性器感染症に対し十分な治療効果を示し,前立腺組織への移行性も良好であることが示唆された。

Key word

levofloxacin, once daily dosing, urogenital infection, penetration, prostatic tissue

別刷請求先

岐阜県岐阜市柳戸1-1

受付日

平成23年8月23日

受理日

平成23年9月21日

日化療会誌 59 (6): 585-596, 2011