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書誌情報

Vol.60 No.3 May 2012

原著・臨床

小児における各種感染症を対象としたメロペネムの有用性およびPK-PD解析に関する検討

佐藤 吉壮1), 山藤 満2), 花木 秀明3), 鈴木 由美子3), 吉田 幹宜4), 木津 純子4)

1)富士重工業健康保険組合総合太田病院小児科
2)同 薬剤部
3)北里大学抗感染症薬研究センター
4)慶應義塾大学薬学部実務薬学講座

要旨

 今回,われわれは中等症~重症の肺炎25例,上気道感染症3例および尿路感染症1例の小児における各種感染症患児29例を対象にメロペネム(MEPM)の有効性および安全性の確認を行うとともに,被験者から得られた血中濃度に基づく薬物動態シミュレーション解析をもとに算出したTime above MIC(T>MIC)と臨床効果の関係について検討を行った。MEPMの投与設計は,本邦の添付文書に従い,通常用量範囲内の最高用量である20 mg/kg/回を1日3回とした。なお,1回の点滴時間はいずれも30分とした。分離された原因菌26株に対するMEPMのMIC値はいずれも0.5 μg/mL以下と良好な感受性を示した。臨床効果については,対象疾患や重症度,抗菌薬による前治療の有無を問わずMEPMを投与した全例が著効と判定された。また,MEPMとの因果関係の有無にかかわらず,本薬剤投与中または終了後における有害事象は認められなかった。MEPMの血清中濃度実測値は開発治験時のデータで構築されたpopulation pharmacokinetic(PPK)モデルに基づく95%予測区間内に概ね分布しており良好な相関を示した。ベイズ推定により算出した被験者ごとの血中濃度シミュレーションをもとに本検討で得られた原因菌26株のMIC値から算出したMEPMのT>MIC値は,いずれもカルバペネム系薬において最大殺菌作用を示すT>MIC 40%を超えていた。Pharmacokinetics-pharmacodynamics(PK-PD)シミュレーション解析に基づきMEPMの有効性を論じた既報を支持するべく,今回のわれわれの検討においてMEPMのT>MICは臨床効果を予測する一つの指標になりえると考えられた。

Key word

child, meropenem, PK-PD, time above MIC, clinical effect

別刷請求先

群馬県太田市八幡町29-5

受付日

平成23年9月8日

受理日

平成24年2月20日

日化療会誌 60 (3): 335-341, 2012