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書誌情報

Vol.60 No.4 July 2012

原著・臨床

Cefditoren pivoxil細粒高用量の小児における細菌性肺炎,急性中耳炎,急性鼻副鼻腔炎を対象とした臨床試験

砂川 慶介1), 尾内 一信2), 鈴木 賢二3), 堀 誠治4)

1)北里大学感染制御研究機構
2)川崎医科大学小児科学講座
3)藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院耳鼻咽喉科
4)東京慈恵会医科大学感染制御部

要旨

 Cefditoren pivoxil(CDTR-PI)高用量投与による小児の細菌性肺炎,急性中耳炎および急性鼻副鼻腔炎に対する有効性,安全性,服用性および薬物動態を一般臨床試験で検討した。用法用量は6 mg/kg,1日3回食後経口投与,投与期間は7日間とした。
 有効性解析対象106名における投与終了時(中止時)の臨床効果は,細菌性肺炎で100%(14名/14名),急性中耳炎で89.9%(71名/79名),急性鼻副鼻腔炎で92.3%(12名/13名)であった。投与終了時(中止時)の原因菌の菌消失率は88.5%(46株/52株)であった。原因菌としては,Streptococcus pneumoniaeおよびHaemophilus influenzaeの分離頻度が高く,それぞれ24.1%(13株/54株),61.1%(33株/54株)であり,2菌種で85.2%を占めた。
 安全性解析対象115名における自覚症状,他覚所見に関する副作用発現率は,31.3%(36名/115名)であった。また,臨床検査値に関する異常値発現率は6.2%(7名/113名)であった。主な副作用は水様便,泥状便,無形軟便であり,すべて下痢関連の副作用であった。程度が重度のものは水様便1件のみであり,重篤な副作用は認められなかった。
 服用性解析対象115名における易服用率は93.0%(107名/115名)であった。
 薬物動態について,解析の結果,T>MICと臨床効果および細菌学的効果との関係を見出すことはできなかった。
 これらの結果より,近年薬剤耐性化が進行しているS. pneumoniaeおよびH. influenzaeを主要原因菌とする小児の肺炎,急性中耳炎および急性鼻副鼻腔炎に対する治療にあたって,CDTR-PI 1回6 mg/kg,1日3回投与は有用な治療法であると考えられた。

Key word

cefditoren pivoxil, high dose, acute otitis media, pneumonia, child

別刷請求先

東京都港区白金5-9-1

受付日

平成24年2月22日

受理日

平成24年4月24日

日化療会誌 60 (4): 478-491, 2012