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書誌情報

Vol.60 No.5 September 2012

原著・臨床

腹腔内感染症患者を対象としたtazobactam/piperacillinの臨床第III相試験

三鴨 廣繁1), 竹末 芳生2), 草地 信也3), 小高 雅人4), 河内 保之5), 相川 直樹6)

1)愛知医科大学病院感染制御部
2)兵庫医科大学感染制御学
3)東邦大学医療センター大橋病院外科
4)医療法人 薫風会佐野病院外科
5)新潟県厚生農業協同組合連合会長岡中央綜合病院外科
6)慶應義塾大学医学部

要旨

 目的:腹腔内感染症患者に対するtazobactam/piperacillin(TAZ/PIPC)の1回4.5 g, 1日3回投与による有効性および安全性を評価することを目的に,オープンラベル多施設共同試験を実施した。
 方法:2010年2月から2011年3月にかけて全国26施設30診療科で,腹腔内感染症(腹膜炎,腹腔内膿瘍,胆嚢炎および胆管炎)と診断された患者を対象とした。主要評価項目は,治験薬投与終了(または中止)時の臨床効果とした。また,副次評価項目として,細菌学的効果(患者別および原因菌別の菌消失率)などを設定した。
 結果:臨床効果は,81/87例(93.1%)であった。感染症別では,腹膜炎28/31例(90.3%),骨盤内炎症性疾患の腹膜炎5/6例(83.3%),腹腔内膿瘍26/28例(92.9%),胆嚢炎18/18例(100%)および胆管炎4/4例であった。また,β-ラクタマーゼ産生菌検出症例においては,45/49例(91.8%)であった。細菌学的効果は,患者別で61/70例(87.1%),原因菌別で146/160株(91.3%)であった。β-ラクタマーゼ産生菌検出症例においては,患者別で41/48例(85.4%),原因菌別で69/75株(92.0%)であった。副作用発現割合は45/100例(45.0%)であった。主なものは下痢15/100例(15.0%),好酸球数増加6/100例(6.0%),肝機能異常,血中ビリルビン増加および肝機能検査異常4/100例(4.0%),便秘3/100例(3.0%)であり,重篤な副作用はみられなかった。
 結論:TAZ/PIPCの1回4.5 g,1日3回投与は,腹腔内感染症患者に対する有用性が期待できることが示唆された。

Key word

tazobactam/piperacillin, intra-abdominal infection, peritonitis, clinical trial, extended-spectrum β-lactamase

別刷請求先

愛知県長久手市岩作雁又1-1

受付日

平成24年5月31日

受理日

平成24年6月20日

日化療会誌 60 (5): 560-572, 2012