Vol.60 No.5 September 2012
市販後調査報告
尿路性器感染症におけるlevofloxacin 500 mg 1日1回経口投与の有効性・安全性
1)第一三共株式会社学術調査部*
2)同 安全性情報部
3)同 データサイエンス部
要旨
2009年10月~2010年9月に実施したlevofloxacin(LVFX)500 mg 1日1回経口投与の使用成績調査(32,200例)のうち,尿路・性器感染症(膀胱炎,腎盂腎炎,前立腺炎,精巣上体炎,尿道炎)の症例(9,049例)を対象に本剤の有効性と安全性について検討した。
有効率は尿路・性器感染症全体で95.7%(8,026/8,386例)であり,感染症別の有効率は膀胱炎が96.4%(6,080/6,309例),腎盂腎炎が95.2%(750/788例),前立腺炎が94.3%(617/654例),精巣上体炎が94.6%(141/149例),尿道炎が90.1%(438/486例)であった。
菌消失率は94.2%(1,884/2,001株)であり,主な原因菌別の菌消失率はEscherichia coliが95.7%(1,099/1,148株),Enterococcus faecalisが89.6%(95/106株),Klebsiella pneumoniaeが100%(71/71株),Chlamydia trachomatisが92.0%(46/50株)であった。また,病型(単純性,複雑性)別の菌消失率は,単純性尿路感染症が97.1%(1,154/1,188株),複雑性尿路感染症が89.7%(461/514株)であった。
副作用発現率は,尿路・性器感染症全体で1.56%(132/8,455例)であり,感染症別に見ても0.66%~2.75%であった。主な副作用は下痢,悪心等の「胃腸障害」が61例(0.72%),浮動性めまい,傾眠等の「神経障害」が19例(0.22%),AST増加,ALT増加等の「臨床検査値異常」が17例(0.20%)であった。
以上,LVFX 500 mg 1日1回経口投与は,尿路・性器感染症において,いずれの感染症に対しても十分な治療効果を示し,安全性に関しても問題は認められなかったことから,有用性の高い薬剤であることが確認された。
Key word
levofloxacin, postmarketing surveillance, urinary tract infection, genitals infection
別刷請求先
*東京都中央区日本橋本町3-5-1
受付日
平成24年6月18日
受理日
平成24年7月18日
日化療会誌 60 (5): 580-591, 2012