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書誌情報

Vol.61 No.3 May 2013

総説

Extended-spectrum β-lactamase,構造生物学的見地からみた基質特異性拡張戦略

井深 章子

山形大学理学部物質生命科学科

要旨

 薬剤耐性菌が生産するβ-ラクタマーゼは,アミノ酸配列の相同性に基づいてAからDの4クラスに分類され,各クラスの酵素は基質特異性にも特徴があるとされてきた。しかし,より広い範囲の薬剤に対して分解活性を示す基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(Extended-spectrum β-lactamases:ESBL)が報告されている。クラスA酵素は一般にペニシリン系薬に対する分解活性が高いとされてきたが,オキシイミノセファロスポリン系薬分解能を有するESBLが現在までに数多く出現した。さらに“last resort”と称されるカルバペネム系薬に対する分解活性を有するクラスA酵素も複数報告されており,使用薬剤に対応する酵素の“分子進化”が顕著である。本総説では特にクラスA β-ラクタマーゼを対象とし,β-ラクタマーゼのESBL,カルバペネマーゼ活性獲得のメカニズムを立体構造の面から紹介する。

Key word

extended-spectrum β-lactamases, carbapenemases, structure

別刷請求先

山形県山形市小白川町1-4-12

受付日

平成25年4月1日

受理日

平成25年4月5日

日化療会誌 61 (3): 287-291, 2013