ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.61 No.3 May 2013

原著・臨床

尿路結石による尿路閉塞を伴う急性腎盂腎炎症例の検討

桧山 佳樹1), 高橋 聡2), 栗村 雄一郎1), 市原 浩司2), 橋本 次朗2), 田口 圭介1)

1)王子総合病院泌尿器科
2)札幌医科大学医学部泌尿器科

要旨

 各施設における急性腎盂腎炎原因菌の薬剤感受性パターンを把握することは,初期治療の抗菌薬選択において重要である。そこで,当院における尿路結石による尿路閉塞を伴う急性腎盂腎炎で,ドレナージによる改善が期待できるような水腎症を呈した重症症例における原因菌分布および原因菌の抗菌薬感受性について検討した。2008年から2011年の間に尿路結石による尿路閉塞を伴う急性腎盂腎炎と診断した症例で,尿路のドレナージ術を要すると判断した43例を対象とし,患者背景,臨床経過・転帰,原因菌分布とその抗菌薬感受性を調査した。年齢の中央値は65歳(36~89歳),男女比は20:23,結石部位は左側が16例,右側が24例,両側が3例であった。結石の長径の中央値は9 mm(2~40 mm)であった。41例にDouble-J(D-J)ステント,1例に腎瘻,1例に腎瘻とD-Jステントを留置した。経過中に死亡例は認めなかった。30例で原因菌が同定され,Escherichia coliを15株と最も多く認めた。そのなかでキノロン耐性株は1株(7%),ESBL産生株を1株(7%)認めた。当科の検討では,原因菌としてはE. coliが大部分を占め,ガイドラインの推奨抗菌薬の感受性は良好であり,キノロン耐性株は1例(7%)のみで認めた。したがって,初期治療におけるガイドラインの推奨抗菌薬選択は妥当であると考えられた。

Key word

pyelonephritis, urolithiasis, antimicrobial susceptibility, urinary obstruction

別刷請求先

北海道札幌市中央区南1条西16丁目

受付日

平成25年4月1日

受理日

平成25年4月8日

日化療会誌 61 (3): 292-296, 2013