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書誌情報

Vol.61 No.4 July 2013

短報

PK-PD理論に基づく抗菌薬用法・用量設定の普及に関する実態調査―実地医家を対象として―

木津 純子1), 寺島 朝子1), 前澤 佳代子1), 秋田 博伸2), 堀 誠治3)

1)慶應義塾大学薬学部実務薬学講座
2)東京都練馬区医師会
3)東京慈恵会医科大学感染制御部

要旨

 Pharmacokinetics-Pharmacodynamics(PK-PD)理論に基づいた抗菌薬投与法設定の重要性が強調されているが,臨床現場でどの程度PK-PD理論に関する知識が普及しているのか,またPK-PD理論に基づいた投与設計が行われているかについては,明らかではない。今回,プライマリケアを担う実地医家を対象にアンケート調査を実施した。PK-PD理論について,“よく知っている”あるいは“ある程度知っている”と回答した医師は34%であり,40%は知らないと回答した。実際に抗菌薬を処方する際にPK-PD理論を“十分”あるいは“ある程度”考慮している医師も34%であり,42%はほとんど考慮していなかった。認識度や考慮の程度と年齢は関連していなかった。また,腎機能障害のない成人にレボフロキサシン錠を処方する際,最もよく用いる1日の用法・用量は,49%が“1回500 mg,1日1回”と回答したが,処方の際のPK-PD理論に関する考慮が少ないほど“1回500 mg,1日1回”以外の処方が増えていた。今後,抗菌薬の適正使用を推進するためには,PK-PD理論ならびにその実践について,感染症を専門としていない実地医家に対しても,さらなる啓発が重要であることが確認された。

Key word

antimicrobial agents, PK-PD, questionnaire survey

別刷請求先

東京都港区芝公園1-5-30

受付日

平成24年12月11日

受理日

平成25年4月25日

日化療会誌 61 (4): 380-383, 2013