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書誌情報

Vol.61 No.6 November 2013

総説

Laninamivir Octanoateによるインフルエンザ接触後予防について

柏木 征三郎

博多駅前かしわぎクリニック

要旨

 高齢者や,慢性呼吸器疾患,慢性心疾患などを合併している者,あるいは免疫不全状態の者はインフルエンザハイリスクといわれ,インフルエンザの罹患によって基礎疾患の悪化を来したり,あるいは肺炎などの合併症を発症し,死亡にいたる場合がある。そのため,このようなハイリスク者に対してはインフルエンザ発症後の治療のみならず,発症前の予防対策についても積極的に行う必要がある。原則として,予防の基本はワクチン接種であり,その予防効果はシーズンをとおして期待できる。しかし,ワクチン株と流行株が異なったり,パンデミック発生時のような,ワクチンの予防効果が期待できないような状況下で,同居家族などにインフルエンザが発症した場合は,抗インフルエンザ薬を短期間使用し,発症リスクを低下させることが重要である。
 Laninamivir Octanoate(イナビル®,以下,Laninamivir)は純国産の長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害薬である。治療薬としては2010年に製造販売承認を取得しているが,本稿執筆時点では予防薬としての適応はまだ有していない。しかし,先に実施された臨床試験結果から,Zanamivir(リレンザ®),Oseltamivir(タミフル®)同様,予防薬としての効果が確認された。本総説では,2009/10年シーズンおよび2011/12年シーズンに実施されたLaninamivirの臨床試験成績を中心にまとめ,治療と予防の考え方の違いによる投与方法および投与量の違い,あるいはLaninamivirを予防に使用した時のベネフィットなどについて考察することとした。

Key word

laninamivir, influenza, prophylaxis, neuraminidase inhibitor

別刷請求先

福岡県福岡市博多区博多駅前3-21-15

受付日

平成25年7月29日

受理日

平成25年9月10日

日化療会誌 61 (6): 492-503, 2013