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書誌情報

Vol.62 No.1 January 2014

短報

バンコマイシン薬物動態パラメーター解析によるテイコプラニン個別化薬物療法の検討

小林 亮, 大友 慎也, 儘田 洋, 荒川 昌史, 須藤 俊明

自治医科大学附属病院薬剤部

要旨

 Teicoplanin(TEIC)の目標トラフ値は日本化学療法学会よりガイドラインが公表されており,15 μg/mL以上に設定することが推奨されているが,TEICに関する初期投与量の個別化の手法は確立していない。そこで,vancomycin(VCM)の薬物動態パラメーターを解析し,同一患者のTEIC投与早期の個別化薬物療法の検討を行った。TEICの血中薬物濃度の測定時期は早期非定常状態と考えられる投与開始後96時間以内で行った。VCMのクリアランス(CL),中心コンパートメント分布容積(Vc),定常状態分布容積(Vdss)のベイジアン推定値と母集団平均推定値をTDM解析ソフトを用いて算出した(それらの残差をΔCL,ΔVc,ΔVdssと定義する)。
 ΔCL,ΔVcは,母集団パラメーターから算出されたTEICのトラフ予測値と実測値間の残差と相関することが明らかとなり,その予測にはΔCLが最も有用であることが示唆された。
 これらの結果からVCMによる治療歴のある患者の薬物動態パラメーターを解析することによりTEIC投与早期の非定常状態血中薬物濃度の予測性を改善できることが示唆された。

Key word

vancomycin, teicoplanin, therapeutic drug monitoring(TDM), Bayesian, population pharmacokinetics parameter

別刷請求先

栃木県下野市薬師寺3311-1

受付日

平成25年5月20日

受理日

平成25年12月2日

日化療会誌 62 (1): 129-133, 2014