Vol.62 No.2 March 2014
総説
薬剤耐性菌の耐性機構に関する研究―とくに自然耐性機構の解明―
京都薬科大学名誉教授・特命教授*
要旨
32年間の京都薬科大学・微生物学教室での研究生活のなかで,抗菌薬の薬剤耐性菌の耐性機構に関する研究で多くの成果を得ることができました。本稿では報告することができた成果のなかで(4)マクロライド系薬はなぜ多くのグラム陰性菌に自然耐性なのか?(2)β-ラクタム系薬をブドウ球菌に作用させた時に観察されるトレラント現象について,(3)カルバペネム系は緑膿菌に優れた抗菌力を示すが,ペネム系faropenemはなぜ緑膿菌に抗菌力を示さないのか?についてを概説し,研究室での成果の一端を紹介したいと思います。今回これらの研究で「志賀潔・秦佐八郎賞」を受賞させていただくことになりましたが,日夜努力を継続してくれた教室員に心よりお礼申し上げます。
Key word
macrolides, M. catarrhalis, β-lactams, S. aureus, intrinsic resistance, P. aeruginosa
別刷請求先
*京都府京都市山科区御陵中内町5
受付日
平成26年1月24日
受理日
平成26年1月31日
日化療会誌 62 (2): 177-191, 2014