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書誌情報

Vol.62 No.2 March 2014

市販後調査報告

小児用tosufloxacin細粒の細菌性肺炎,中耳炎に対する安全性と有効性の検討

岩田 敏1), 鈴木 賢二2), 高山 真一郎3), 砂川 慶介4)

1)慶應義塾大学医学部感染症学教室
2)藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院耳鼻咽喉科
3)国立成育医療研究センター臓器・運動器病態外科部
4)北里大学感染制御研究機構

要旨

 小児用の経口キノロン系薬tosufloxacin細粒(オゼックス®細粒小児用15%)の細菌性肺炎,中耳炎を対象とした使用成績調査を2010年3月から2011年3月まで実施し,安全性,有効性ならびに服薬性を検討した。
 808例が登録され,そのうち調査票を回収した797例について解析した。内訳は,服薬性解析対象が760例,安全性解析対象が759例,有効性解析対象が688例,原因菌別臨床効果解析対象が100例,細菌学的効果解析対象が20例であった。
 副作用発現率は2.77%(21/759例)であり,主な副作用は下痢などの「胃腸障害」が16例(2.11%)であった。また,重点調査項目に設定した「悪心または嘔吐」および「関節症状」については,嘔吐が8件(1.05%)に認められたが,臨床的に問題となるものではなく,「関節症状」は認められなかった。
 有効率は98.1%(675/688例)であり,細菌性肺炎で100%(145/145例),中耳炎で97.7%(506/518例)であった。小児の肺炎・中耳炎の主要原因菌であるStreptococcus pneumoniaeHaemophilus influenzaeの菌消失率はそれぞれ7/8株,93.3%(14/15株)であった。
 服薬性については,易服用率は87.5%(665/760例)であり,良好であった。
 以上,本剤の安全性に問題は認められず,有効性も十分な効果が示された。服薬性も良好であり,小児の細菌性肺炎,中耳炎に対して有用な薬剤であることが確認できた。本剤は今後も引き続き適正使用を推進しつつ,育薬すべき薬剤と考えられた。

Key word

tosufloxacin, child, pneumonia, otitis media, post-marketing surveillance

別刷請求先

東京都新宿区信濃町35

受付日

平成26年1月10日

受理日

平成26年1月22日

日化療会誌 62 (2): 204-216, 2014