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書誌情報

Vol.62 No.3 May 2014

短報

アジスロマイシンの高濃度希釈投与における安全性の検討

内田 裕之1, 2), 岡 秀昭2), 前野 努2), 三村 一行2), 小野 大輔2), 石井 嘉之1)

1)関東労災病院薬剤部
2)同 感染症治療管理部

要旨

 アジスロマイシン点滴静注用(AZM)は,静脈炎予防の観点から1 mg/mLに希釈して投与しなければならない。しかし体液貯留状態の患者に対して1回500 mLの輸液負荷は過剰輸液になるおそれがあり,適応が難しい現状がある。米国では2 mg/mLでの投与が承認されており,希釈用輸液を制限して投与を行える可能性が考えられることから,本邦での忍容性を評価することとした。
 疼痛評価可能な肺炎症例を対象に,AZM 500 mgを250 mLの希釈用輸液(5%ブドウ糖液:10例,生理食塩液:2例)を用いて2 mg/mLに調製し末梢静脈から2時間かけて点滴静注した際の忍容性について評価した。AZMを12症例21回投与した。19回は忍容性良好であった。1例で投与4日目に静脈炎所見が認められたが,抜針経過観察で改善した。点滴漏れが発生した投与が1回あり,評価対象から除外した。患者危険因子および希釈用輸液の種類と忍容性に関連を認めなかった。
 本検討は症例数が少なく,本邦での忍容性について十分検討できていないことから2 mg/mLでの画一的な投与は避け輸液負荷が問題となる症例に限り選択肢の一つとすべきと考える。

Key word

azithromycin, high concentration solution, peripheral injection, safety

別刷請求先

神奈川県川崎市中原区木月住吉町1-1

受付日

平成25年8月15日

受理日

平成26年2月18日

日化療会誌 62 (3): 382-384, 2014