Vol.62 No.4 July 2014
原著・臨床
急性単純性膀胱炎に対するsitafloxacin 1回100 mg, 1日2回,3日間投与法の有効性に関する多施設共同研究
1)東京慈恵会医科大学葛飾医療センター泌尿器科*
2)東京慈恵会医科大学泌尿器科学講座
3)清水クリニック
4)公益財団法人 東京都保険医療公社東部地域病院泌尿器科
要旨
Sitafloxacin(STFX)の女子急性単純性膀胱炎に対する有効性を明らかにする目的で,女子急性単純性膀胱炎56例に対しSTFXを1回100 mg,1日2回,3日間投与し,尿路性器感染症に関する臨床試験実施のためのガイドライン第1版(2011)に準じてその有効性を判定した。その結果,STFX投与終了後4~9日後の細菌学的効果は有効44例,無効12例(菌存続6例,菌交代6例)で有効率は78.6%であった。また,臨床効果は有効例54例,無効例2例で有効率は96.4%であった。再発判定が可能であった32例では細菌学的効果は有効23例,無効9例(治療前と同一菌種4例,治療前と異菌種5例)であり有効率は71.9%であった。再発判定時の臨床効果は有効例30例,無効例2例で有効率は93.8%であった。分離された大腸菌は44株中39株(88.6%)が消失し,STFXのMIC50およびMIC90はおのおの≤0.06 μg/mLおよび1 μg/mLであった。残存した大腸菌6株中4株はSTFXのMICは≤1 μg/mLであった。腸球菌は16株分離され,除菌率は93.8%,STFXのMIC50およびMIC90はおのおの0.12 μg/mL, 0.25 μg/mLと良好な成績であった。以上より,本研究ではSTFXの女子急性単純性膀胱炎に対する有効性がやや低く,今後はSTFXのより長期間投与の有効性を検討する必要があると考えられた。
Key word
sitafloxacin, uncomplicated cystitis, clinical efficacy
別刷請求先
*東京都葛飾区青戸6-41-2
受付日
平成26年3月24日
受理日
平成26年5月12日
日化療会誌 62 (4): 494-500, 2014