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書誌情報

Vol.62 No.5 September 2014

原著・臨床

小児市中肺炎に対するtosufloxacin細粒小児用15%の有効性・安全性の臨床評価

坂田 宏1), 岩田 敏2), 尾内 一信3), 佐藤 吉壮4), 津村 直幹5), 砂川 慶介6)

1)旭川厚生病院小児科
2)慶應義塾大学医学部感染症学教室
3)川崎医科大学小児科学教室
4)富士重工業健康保険組合太田記念病院
5)久留米大学医学部小児科学教室
6)北里大学感染制御研究機構

要旨

 Tosufloxacin tosilate hydrate細粒小児用15%(TFLX細粒)の有効性・安全性を評価し,小児の市中肺炎治療におけるTFLX細粒の位置づけを検討することを目的として本研究を実施した。参加した医療機関は15施設で,2010年8月から2012年12月に受診した16歳未満の市中肺炎患児を対象とした。感染症重症度は小児呼吸器感染症診療ガイドライン2007(GL2007)の判定基準に従うとしたが,本研究中に小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011(GL2011)が公表され,重症度の評価が大きく変わったことから,その検証も合わせて実施した。臨床効果等は小児科領域抗菌薬臨床試験の判定基準に従った。104例が登録され,有効性解析対象症例は95例,安全性解析対象症例は102例であった。
 有効率は全体で94.7%(90/95例),そのうち細菌性肺炎が97.7%(43/44例),マイコプラズマ肺炎が96.3%(26/27例)であった。初期治療で耐性菌感染が疑われる場合での有効率は94.5%(69/73例),マクロライド耐性が疑われるマイコプラズマ肺炎の児では100%(15/15例)であった。感染症重症度別ではGL2007の基準で評価すると軽症96.2%(25/26例),中等症90.0%(27/30例),重症97.4%(38/39例)であった。GL2011の基準で評価すると軽症97.7%(43/44例),中等症92.2%(47/51例)であった。副作用発現率は8.8%(9/102例)であり,その内訳は下痢・軟便が6.9%(7/102例),臨床検査値異常が2.0%(2/102例)であった。関節に関する副作用はなかった。
 以上より,TFLX細粒は小児市中肺炎の児に対しての有効性および安全性が確認された。

Key word

tosufloxacin, child, community-acquired pneumonia

別刷請求先

北海道旭川市1条通24丁目111

受付日

平成26年4月28日

受理日

平成26年6月26日

日化療会誌 62 (5): 613-621, 2014