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書誌情報

Vol.62 No.6 November 2014

総説

呼吸器領域におけるアスペルギルス症に対する診療指針

安藤 常浩

日本赤十字社医療センター感染症科/感染対策室

要旨

 抗癌剤等による化学療法,臓器移植,免疫抑制剤や生物学的製剤など,医学の進歩に伴って生ずるcompromised hostは増加し続けている。日和見感染症としての深在性真菌症,特にアスペルギルス感染症は増加傾向に転じて久しい1)。侵襲性肺アスペルギルス症(IPA)は診断が困難であり予後不良の転帰をとる。慢性肺アスペルギルス症(CPA)では喀血を繰り返し,緩序な進行ながら難治性となることもしばしばである2)。アスペルギルス感染症の臨床は困難であったが,各抗アスペルギルス活性を有する新規抗真菌薬の開発や治療に関するエビデンスも蓄積されてきている。本邦では2014年2月に深在性真菌症ガイドラインが新たに改訂された。深在性真菌症ガイドラインは2003年に初めて編集され,2007年に改訂されている。このたびの改訂では診断/治療の新たなエビデンスや予防,感染制御にいたるまで多岐にわたる充実した内容となっている。本稿では第60回日本化学療法学会東日本支部総会シンポジウム6の内容をもとにして,その後発表された新たなガイドラインに沿って呼吸器領域におけるアスペルギルス感染症に対する診療指針について概説したい。

Key word

guideline, chronic pulmonary aspergillosis

別刷請求先

東京都渋谷区広尾4-1-22

受付日

平成26年7月3日

受理日

平成26年8月19日

日化療会誌 62 (6): 657-662, 2014