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書誌情報

Vol.62 No.6 November 2014

症例報告

潜在性結核感染症治療を行ったがTNF(tumor necrosis factor)阻害薬投与中に活動性結核を発症した3例

吉川 晃司1), 佐藤 文哉2), 竹田 宏3), 吉田 正樹4), 児島 章5), 堀 誠治2)

1)東京慈恵会医科大学葛飾医療センター感染制御部
2)東京慈恵会医科大学感染制御部
3)東京慈恵会医科大学附属第三病院感染制御部
4)東京慈恵会医科大学附属柏病院感染制御部
5)東京慈恵会医科大学葛飾医療センター呼吸器内科

要旨

 潜在性結核感染症(latent tuberculosis infection:LTBI)治療を行ったがtumor necrosis factor(TNF)阻害薬投与中に活動性結核を発症した3例を報告する。症例1は37歳男性。クローン病に対するTNF阻害薬投与前スクリーニングでLTBIと診断し,isoniazid(INH)300 mg/日によるLTBI治療を開始,49日後にinfliximab(IFX)が開始された。LTBI治療継続中のINHの服薬コンプライアンスは不明であった。IFX開始から2年4カ月後にINH耐性結核菌による肺結核を発症した。症例2は51歳女性。関節リウマチに対するTNF阻害薬投与前スクリーニングでLTBIと診断しINH 300 mg/日を開始,48日後にetanerceptが開始された。LTBI治療は6カ月間行い,LTBI治療終了から6カ月後に右頸部リンパ節結核を発症した。症例3は39歳女性。関節リウマチに対するTNF阻害薬投与前スクリーニングでLTBIと診断しINH 300 mg/日を開始,28日後に肝障害が認められ200 mg/日に減量,その5日後にIFXが開始された。IFX開始から4カ月後に肺結核を発症した。LTBI治療により結核発症リスクは低下するが,TNF阻害薬投与中はLTBI治療を行っても結核発症の可能性があることに十分留意すべきである。LTBI治療は適正な用量で行い,服薬状況を監視し良好なコンプライアンスを維持することが重要であると考えられた。

Key word

isoniazid, tuberculosis, tumor necrosis factor(TNF), infliximab, etanercept

別刷請求先

東京都葛飾区青戸6-41-2

受付日

平成26年6月2日

受理日

平成26年8月27日

日化療会誌 62 (6): 681-686, 2014