Vol.62 No.6 November 2014
市販後調査報告
Levofloxacin注射剤500 mg 1日1回投与の安全性・有効性
1)東京慈恵会医科大学感染制御部*
2)第一三共株式会社メディカルアフェアーズ部
3)同 薬制部
4)同 安全管理統括部
5)同 データサイエンス部
要旨
Levofloxacin注射剤(クラビット®点滴静注バッグ500 mg/100 mL・クラビット®点滴静注500 mg/20 mL)の使用成績調査を2011年10月から2013年9月にかけて実施した。全国221施設の医療機関から1,142例の調査票を収集し,安全性は1,118例,有効性は952例で検討した。
副作用発現率は10.02%(112/1,118例)であり,主な副作用はALT増加等の臨床検査値の異常変動4.56%(51/1,118例),肝機能異常等の肝胆道系障害1.43%(16/1,118例),注射部位反応等の一般・全身障害および投与部位の状態1.25%(14/1,118例)であった。重篤な副作用は6例(6件)に認められ,その内訳は,肺炎,血中クレアチニン増加,間質性肺疾患,肝機能異常,肺障害,急性呼吸窮迫症候群であった。
本剤と併用注意となっているフェニル酢酸系またはプロピオン酸系非ステロイド性抗炎症薬(フェニル酢酸系・プロピオン酸系NSAIDs)は9.8%(110/1,118例)で併用されたが,併用による副作用発現率の上昇は認められなかった。また,中枢神経系副作用(神経系障害および精神障害)はフェニル酢酸系・プロピオン酸系NSAIDs併用例,その他のNSAIDs併用例では認められなかった。
有効率は全体で90.7%(863/952例)であり,適応症別には,肺炎90.5%(781/863例),慢性呼吸器病変の二次感染92.1%(82/89例)であった。肺炎分類別では,市中肺炎93.8%(589/628例),医療・介護関連肺炎79.9%(123/154例),院内肺炎85.9%(67/78例)であった。
菌消失率は全体で93.0%(146/157株)であり,グラム陽性菌88.7%(55/62株),グラム陰性菌95.4%(83/87株),非定型菌100.0%(8/8株)であった。
以上より,Levofloxacin注射剤の安全性に大きな問題点は認められず,肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染に対して90%以上の有効率を示したことから,使用実態下においても有用な抗菌薬であることが確認された。
Key word
levofloxacin, safety, efficacy, injection
別刷請求先
*東京都港区西新橋3-25-8
受付日
平成26年8月8日
受理日
平成26年9月16日
日化療会誌 62 (6): 687-702, 2014