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書誌情報

Vol.63 No.2 March 2015

総説

動物に由来するCTX-M型基質拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌

原田 和記1), 浅井 鉄夫2)

1)鳥取大学農学部共同獣医学科
2)岐阜大学大学院連合獣医学研究科

要旨

 獣医療分野においては,主として伴侶動物および食用動物の細菌感染症の治療を目的として抗菌薬が使用される。近年,第3世代セファロスポリン系製剤が動物用抗菌剤として承認・使用され,動物において基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌が選択される可能性が高まっている。なかでも,医療分野で流行しているCTX-M型β-ラクタマーゼは,動物由来細菌のESBLとしても頻繁に検出されている。これら動物に分布する耐性菌の影響は,獣医療のみの問題ではなく,伴侶動物では直接的に,食用動物では食肉を介して間接的に人に伝播するリスクが指摘されており,公衆衛生上も問題となる可能性がある。一方で,大腸菌は,代表的な常在菌であり,あらゆる動物に分布することから,薬剤耐性のリザーバーとして認識されている。さらに,本菌は,伴侶動物および食用動物における各種細菌感染症の主要な原因菌の一つである。本稿では,伴侶動物と食用動物に由来するCTX-M型ESBL産生大腸菌の分布状況について,国内の状況を中心に概説する。

Key word

E. coli, extended-spectrum β-lactamases(ESBL), Japanese Veterinary Antimicrobial resistance monitoring system

別刷請求先

鳥取県鳥取市湖山町南4-101

受付日

平成26年12月12日

受理日

平成26年12月25日

日化療会誌 63 (2): 181-186, 2015