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書誌情報

Vol.63 No.3 May 2015

総説

薬剤耐性と対峙する手術部位感染対策―下部消化管外科領域―

大毛 宏喜1, 4), 原 稔典2), 繁本 憲文1, 4), 木場 由美子2), 古霜 麻紀2), 長岡 里枝2), 小野寺 一2), 鹿山 鎭男3), 菅井 基行3), 末田 泰二郎4)

1)広島大学病院感染症科
2)同 診療支援部
3)広島大学大学院医歯薬保健学研究院細菌学
4)同 外科学

要旨

 下部消化管外科領域での手術部位感染対策において,対象となる菌種は腸管内の偏性嫌気性菌と通性嫌気性菌である。前者ではBacteroides属が重要で,セファマイシン系薬やclindamycinに対する耐性が進行し,カルバペネム系薬やβ-ラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬が使用されている。新たに日本で使用可能になった注射用のmetronidazoleは抗嫌気性菌薬として今後この領域で重要な選択肢となる。また通性嫌気性菌である大腸菌や肺炎桿菌など腸内細菌科の細菌ではextended-spectrum β-lactamase(ESBL)産生菌の増加が今後の課題となる。いずれの菌種も耐性化の年次推移を監視しつつ,治療薬剤の選択を行う必要がある。

Key word

surgical site infection, colorectal surgery, anaerobe, antimicrobial resistance

別刷請求先

広島県広島市南区霞1-2-3

受付日

平成26年12月10日

受理日

平成27年1月6日

日化療会誌 63 (3): 339-342, 2015