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書誌情報

Vol.63 No.4 July 2015

症例報告

アジスロマイシン投与が有効性を示した日本人細菌性赤痢の1例

大西 健児1), 太田 雅之1), 鷲野 巧弥1), 彦根 麻由1), 坂本 直也1), 小林 謙一郎1), 岩渕 千太郎1), 西原 弘仁2)

1)東京都立墨東病院感染症科
2)同 臨床検査科

要旨

 症例は50歳の日本人男性で,インド滞在中に発熱と下痢が出現した。発熱は1日で改善したが,下痢が続くため第8病日に受診した。便を採取後にtosufloxacin(TFLX)の経口投与を開始したところ,抗菌薬投与前の便からShigella sonneiおよびCampylobacter jejuniが検出された。S. sonneiはampicillinに感性,ceftriaxone,fosfomycin,levofloxacinに耐性を示し,azithromycin(AZM)のMICは16 μg/dLであった。第11病日に受診した際には自覚症状がなく,以後も自覚症状はなかったが,第14病日の便からS. sonneiが検出されたためamoxicillinを第18病日から経口投与した。しかし,第28病日の便からもS. sonneiが検出され,第32病日から1日1回500 mgのAZMを3日間経口投与した。その後は便からS. sonneiは検出されなかった。この結果から,1日1回500 mgのAZMを3日間経口投与することが,他剤で細菌学的効果が得られない日本人の細菌性赤痢患者にとり,除菌を目的とした際の選択肢の一つと考えられる。

Key word

shigellosis, Shigella sonnei, azithromycin

別刷請求先

東京都墨田区江東橋4-23-15

受付日

平成27年1月26日

受理日

平成27年3月9日

日化療会誌 63 (4): 419-421, 2015