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書誌情報

Vol.63 No.5 September 2015

症例報告

常用量のfamciclovirにより異常なpenciclovir血中濃度上昇を示した高齢者の1例

井出 直仁1), 佐藤 誠太郎1), 平野 茂子2)

1)掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター薬剤部
2)医療法人社団 綾和会掛川東病院薬剤部

要旨

 Famciclovir(FCV)はpenciclovir(PCV)のプロドラッグであり,帯状疱疹の治療薬として汎用されている。今回われわれは,常用量のFCVで異常なPCV血中濃度上昇を示した高齢者の症例を経験した。本症例は91歳の女性で,食欲不振と全身倦怠感を主訴に当院を受診し,採血結果などから脱水と診断され入院となった。われわれは持参薬とお薬手帳の記録からFCVを1日量で1,500 mg服用していたことを確認し,その副作用として急性腎不全が生じたと考え,医師へFCVの内服中止とPCV血中濃度測定を提案した。測定の結果,PCV血中濃度は20.31 μg/mLと非常に高値であった。FCVは他の抗ヘルペスウイルス薬と同様に,主に腎臓で排泄されるため,高齢者に投与する際は腎機能が低下していることを念頭に置き減量し,かつ飲水を勧めるなど適切な水分摂取が必要と考えられる。

Key word

famciclovir, blood concentration, adverse reaction, acute renal failure

別刷請求先

静岡県掛川市菖蒲ヶ池1-1

受付日

平成27年5月25日

受理日

平成27年7月22日

日化療会誌 63 (5): 469-472, 2015