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書誌情報

Vol.63 No.5 September 2015

市販後調査報告

パズフロキサシンメシル酸塩注射液の高用量(1日2,000 mg)投与での有効性および安全性の検討(特定使用成績調査)

戸塚 恭一1), 渡辺 晋一2), 久志本 理3)

1)特定医療法人 大坪会北多摩病院
(旧 東京女子医科大学感染対策部感染症科)
2)帝京大学医学部皮膚科学講座
3)富山化学工業株式会社開発管理部

要旨

 パズフロキサシンメシル酸塩注射液(パシル®点滴静注液)の特定使用成績調査を,敗血症,重症・難治性の呼吸器感染症(肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染)および肺炎球菌による肺炎を対象に2010年11月から2013年3月にかけて実施し,1日2,000 mg投与での有効性および安全性を確認した。
 有効性解析対象集団312例で判定不能を除く有効率は,全体で83.8%(244/291例)で,感染症別では敗血症で90.5%(57/63例),重症・難治性の呼吸器感染症(肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染)で81.6%(160/196例),肺炎球菌による肺炎で84.4%(27/32例)であった。菌消失率は97.9%(46/47株)で,存続菌はEscherichia coli 1株のみであった。
 安全性解析対象集団342例で副作用は61例84件みられ,副作用発現率は17.8%(61/342例)であった。主な副作用は,注射部位静脈炎が13件,注射部位紅斑が10件,注射部位疼痛が8件,肝機能検査値異常が6件であった。重篤な副作用は8例に12件発現し,播種性血管内凝固,汎血球減少症,ショック,急性呼吸窮迫症候群,血小板数減少が1例に5件,偽膜性大腸炎,重複感染(菌交代現象),心筋梗塞,ストレス心筋症,薬疹,発熱および腎機能検査異常が各1例に1件であった。重点調査項目の注射部位反応は27例に37件発現したが,いずれも非重篤で,多数の症例で発現後に注射部位変更,アイシングなどの処置で回復または軽快を確認した。
 以上より,パズフロキサシンメシル酸塩注射液の高用量である1日2,000 mg投与は,敗血症,重症・難治性の呼吸器感染症(肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染)および肺炎球菌による肺炎に対して,日常診療でも高い有用性を示すことが確認された。

Key word

pazufloxacin, postmarketing surveillance

別刷請求先

東京都調布市調布ヶ丘4-1-1

受付日

平成27年3月31日

受理日

平成27年7月2日

日化療会誌 63 (5): 473-489, 2015