ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.63 No.6 November 2015

抗菌薬感受性報告

東北地方で臨床材料から分離された各種病原細菌に対するチゲサイクリンの抗菌力

早川 幸子1), 藤村 茂1, 4), 渡部 祐司2), 古川 恵美子1), 河村 真人1), 宇野 浩一3), 佐藤 寿夫3), 渡辺 彰4)

1)東北薬科大学大学院薬学研究科臨床感染症学教室
2)東北薬科大学病院中央検査部細菌検査室
3)日本微生物研究所
4)東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門

要旨

 チゲサイクリンは2012年9月に本邦で臨床使用されるようになった。その適応菌種は,多剤耐性アシネトバクター属菌やNDM-1産生大腸菌など,2系統以上の抗菌薬に耐性を示すグラム陰性桿菌である。本剤は,欧米ですでに臨床使用されていたが,わが国で緊急に導入されたため,本邦の各種臨床分離株に対する薬剤感受性の成績が少なかった。今回,東北地方で臨床分離された270株に対するチゲサイクリンの抗菌力を調査した。Escherichia coliKlebsiella spp.,Acinetobacter baumanniiに対する感受性率は,欧米の成績とほぼ同様で100%であった。また,ESBL産生菌およびMRSAに対しても,それぞれ83.1%,93.3%の感受性率を示した。しかしながら,バンコマイシン(VCM)の負荷により選択されたVCMのMIC=2 μg/mLのMRSAでは,50%の株がチゲサイクリンに耐性を示した。

Key word

tigecycline, antimicrobial susceptibility, ESBL, MRSA, Acinetobacter spp.

別刷請求先

宮城県仙台市宮城野区福室1-12-1

受付日

平成27年6月9日

受理日

平成27年8月27日

日化療会誌 63 (6): 576-579, 2015