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書誌情報

Vol.64 No.1 January 2016

抗菌薬感受性報告

臨床材料から分離された耐性緑膿菌に対するブレイクポイントチェッカーボードプレートを用いたin vitro併用効果の検討

榎屋 友幸1), 村木 優一1), 中村 明子2), 田辺 正樹3), 兼児 敏浩3), 奥田 真弘1)

1)三重大学医学部附属病院薬剤部
2)同 中央検査部
3)同 医療安全・感染管理部

要旨

 重症患者の緑膿菌感染症の治療には抗菌薬の2剤併用療法が必要である。しかしながら,緑膿菌に対する抗菌薬の併用の有効性は未だ明確ではない。本研究では2009年4月から2014年12月に当院で分離された緑膿菌のうち,imipenem(IPM),ciprofloxacin(CPFX),amikacin(AMK)の3剤中,3剤すべてに耐性の緑膿菌を多剤耐性緑膿菌(MDRP),2剤耐性の緑膿菌をpre-MDRPと定義し,抗菌薬によるin vitro併用効果を検討した。ブレイクポイントチェッカーボードプレート(BCプレート)を用いてスコア化および併用効果を評価した。BCプレートで単剤の最小発育阻止濃度が測定濃度未満の場合は解析対象から除外した。また,スキップ現象がみられた場合は再度解析をやり直した。pre-MDRPは16株,MDRPは10株抽出された。pre-MDRPは,colistin(CL)/rifampicin(RFP)の組み合わせにおいて満点に対する合計点の割合(92%;33/36)が最も高く,9株中8株に併用効果が認められた。次に満点に対する合計点の割合が高かったのはpiperacillin(PIPC)/AMKの組み合わせであり(90%;18/20),5株中5株に併用効果が認められた。一方,MDRPは,CL/RFPの組み合わせが最も有効であり(85%;17/20),5株中4株において併用効果が認められた。結論として,CL/RFPの併用療法はpre-MDRPおよびMDRPに対して経験的治療として期待できる併用療法と考えられた。

Key word

break-point checkerboard plate, multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa

別刷請求先

三重県津市江戸橋2-174

受付日

平成27年7月31日

受理日

平成27年10月16日

日化療会誌 64 (1): 82-86, 2016