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書誌情報

Vol.64 No.4 July 2016

総説

小児の細菌性髄膜炎に対するワクチンの効果

岡田 賢司1), 菅 秀2), 庵原 俊昭2), 神谷 齊2)

1)福岡歯科大学全身管理部門総合医学講座小児科学分野
2)国立病院機構三重病院

要旨

 背景:わが国では2008年にHib(Haemophilus influenzae type b)ワクチン,2010年に小児用肺炎球菌ワクチン(7価結合型肺炎球菌ワクチン:pneumococcal conjugate vaccine:PCV7)が承認され,欧米との“ワクチンギャップ”は縮小してきた。両ワクチンは2013年4月から定期接種となり,接種率が高くなり小児の細菌性髄膜炎は大幅に減少してきた。
 方法と結果:2008年から10道県で全数調査を行ってきた庵原・神谷班の集計では,ベースライン(2008~2010年)と比較して,2014年Hibによる細菌性髄膜炎の罹患率は100%減少し,報告はなかった。肺炎球菌による髄膜炎の罹患率は71%減少した。
 考察:分離される肺炎球菌やインフルエンザ菌は,ワクチンには含まれない型の菌(非ワクチン型)が相対的に増加してきた(血清型置換)。今後は,全年齢を対象とした調査で分離菌の細菌学的解析が必要となっている。

Key word

Haemophilus influenzae type b (Hib) vaccine, pneumococcal conjugate vaccine (PCV), serotype

受付日

平成28年1月27日

受理日

平成28年3月11日

日化療会誌 64 (4): 652-655, 2016