Vol.64 No.5 September 2016
総説
糖尿病患者の好中球機能異常
帝京大学医学部微生物学講座*
要旨
糖尿病では自然免疫や獲得免疫に変化が起こり易感染性となる。その理由として宿主反応の異常,特に好中球の接着性,走化性,貪食能および細胞内殺菌,neutrophil extracellular traps(NETs)の欠陥など高血糖の作用に起因する宿主応答の異常が考えられる。また,高血糖による血清オプソニン活性の低下も指摘されている。本稿では,糖尿病や高血糖状態における好中球機能異常に関する文献をレビューし,糖尿病治療が好中球反応に及ぼす影響についても概説する。
Key word
neutrophils, innate immune system, diabetes mellitus, hyperglycemia
別刷請求先
*東京都板橋区加賀2-11-1
受付日
平成28年6月21日
受理日
平成28年8月5日
日化療会誌 64 (5): 735-741, 2016