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書誌情報

Vol.64 No.6 November 2016

原著・臨床

尿路感染症におけるpazufloxacinを対照薬としたlevofloxacin注射薬の第III相比較試験―注射薬から経口薬への切り替え療法による検討―

安田 満1), 濱砂 良一2), 山本 新吾3), 南谷 進市4), 奥田 恭行4), 松本 哲朗5)

1)岐阜大学医学部附属病院泌尿器科
2)産業医科大学泌尿器科
3)兵庫医科大学泌尿器科・腎移植センター
4)第一三共株式会社研究開発本部
5)産業医科大学名誉教授

要旨

 注射薬の治療が適切とされた尿路感染症に対するlevofloxacin(LVFX)注射薬500 mg 1日1回の有効性および安全性を検討する目的で,pazufloxacin(PZFX)を対照に多施設共同無作為化オープンラベル非劣性検証試験を実施した。対象疾患は,急性単純性腎盂腎炎,複雑性腎盂腎炎および複雑性膀胱炎とした。登録患者はLVFX注射薬500 mg 1日1回5日間点滴静注後にLVFX経口薬500 mg 1日1回5日間経口投与グループと,PZFX 1回500 mg 1日2回5日間点滴静注後にLVFX経口薬500 mg 1日1回5日間経口投与の2グループに割り付けた。有効性は,「尿路性器感染症に関する臨床試験実施のためのガイドライン―第1版―」に概ね準拠し評価した。
 注射薬終了/中止時の細菌学的効果の有効率(主要評価)は,LVFX注射薬が93.7%(119/127例),対照薬が89.5%(111/124例),群間差は4.2%(95%信頼区間:-2.7~11.0)であり,LVFX注射薬のPZFXに対する非劣性が検証された。LVFX経口薬投与終了5~9日後の細菌学的効果の有効率(副次評価)は,LVFX注射薬から経口薬の切り替え療法が76.2%(96/126例),対照群が79.7%(98/123例),群間差は-3.5%(95%信頼区間:-13.8~6.8)であった。
 LVFX経口薬投与終了5~9日後の副作用発現率は,LVFX注射薬から経口薬の切り替え療法が34.6%(56/162),対照群が32.1%(52/162),群間差は2.5%(95%信頼区間:-7.8~12.7)であった。
 以上より,尿路感染症に対してLVFX注射薬500 mg 1日1回投与はPZFX 1回500 mg 1日2回と同等の有効性と安全性が確認された。また,LVFX注射薬から経口薬の切り替え療法が有用であることが示された。

Key word

levofloxacin, urinary tract infection, pyelonephritis, complicated cystitis

別刷請求先

岐阜県岐阜市柳戸1-1

受付日

平成28年6月28日

受理日

平成28年7月29日

日化療会誌 64 (6): 796-812, 2016