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書誌情報

Vol.64 No.6 November 2016

短報

抗菌薬TDMガイドラインの導入がvancomycinの1日投与量,投与期間,総投与量,および腎障害の発現率に及ぼす影響

植木 哲也1, 3), 村上 由花1), 宮崎 晶1), 橋口 靖1), 眞柴 晃一2), 中嶋 幹郎3)

1)北九州市立医療センター薬剤課
2)同 総合診療科
3)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科

要旨

 抗菌薬TDMガイドライン(以下,ガイドライン)では,vancomycin(VCM)の目標トラフ値が10~20 μg/mLに設定されている。当院では,VCMの目標トラフ値をガイドラインの発表前は10~15 μg/mLに設定していたが,ガイドラインの発表後は10~20 μg/mLに設定変更した。本研究では,ガイドラインの導入がVCMの有効性と安全性に及ぼす影響を検討するため,VCMが投与された患者171例を対象として,ガイドラインの導入前後でVCMの1日投与量,投与期間,総投与量,および腎障害の発現率について比較した。その結果,ガイドライン導入前後のVCMの1日投与量は1.5 g(中央値)と2.0 gであり,投与期間は12.5日と10.0日(P=0.042),総投与量は16.25 gと14.0 g,および腎障害の発現率は25.2%と23.2%であった。これらの結果は,ガイドラインに基づくVCMの目標トラフ値10~20 μg/mLの設定が投与期間を有意に短くしたことと腎障害発現率の増加と関連していなかったことを示しており,ガイドライン導入の有用性が示唆された。

Key word

vancomycin, therapeutic drug monitoring, guideline, blood concentration, renal dysfunction

別刷請求先

福岡県北九州市小倉北区馬借2-1-1

受付日

平成28年3月2日

受理日

平成28年7月13日

日化療会誌 64 (6): 813-816, 2016