Vol.65 No.1 January 2017

総説

抗酸菌症の免疫補助療法―マクロファージ機能との関連から―

冨岡　治明^{1, 2）}, 多田納　豊^3）, 清水　利朗^4）, 佐藤　勝昌^5）, 佐野　千晶^6）

^1）安田女子大学教育学部児童教育学科^＊
2）島根大学医学部医学科
^3）国際医療福祉大学薬学部薬学科
^4）安田女子大学家政学部管理栄養学科
^5）神戸女子大学家政学部管理栄養士養成課程
^6）島根大学医学部地域医療支援学

要旨

　近年，多剤耐性結核や易感染性宿主でのMycobacterium avium complex（MAC）症といった難治性抗酸菌症が問題になっている。こうした抗酸菌症の治療には，既存のものよりも強力な新規抗結核薬，抗MAC薬の開発が急務であるが，そうした新しいタイプの抗菌薬の開発は，delamanid，bedaquiline，pretomanidなどの例を除いては遅々として進んでいないのが現状である。こうした状況下にあっては，既存の抗菌薬の治療効果を側面から増強するような何らかの補助薬剤を併用して行くという取り組みが現実的である。本稿では，難治性抗酸菌症の抗菌薬による化学療法に免疫補助剤を併用するいわゆる免疫補助療法の最近の展開について概説した。

Key word

immunoadjunctive therapy, host-directed therapeutics, macrophage, mycobacterial infection

別刷請求先

^＊広島県広島市安佐南区安東6-13-1

受付日

平成28年9月8日

受理日

平成28年9月28日

日化療会誌 65 (1): 10-16, 2017