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書誌情報

Vol.65 No.1 January 2017

市販後調査報告

カンジダ属およびアスペルギルス属に対するカスポファンギン感受性の年次推移―特定使用成績調査結果(製造販売後調査)―

天野 廣美1), 黒川 利徳2), 宮坂 知弘2), 近藤 孝行2), 河井 啓2), 原 満良1)

1)MSD株式会社ファーマコビジランス領域
2)同 メディカルアフェアーズ

要旨

 カスポファンギン(CPFG)の市販後3年間(2012~2014年)に国内の医療機関において主に真菌感染症が疑われた患者より分離したCandida属6種,計510株およびAspergillus属4種,計300株のCPFGに対する感受性を各年ごとに調査した。Candida属およびAspergillus属に対する感受性測定は,それぞれClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)の微量液体希釈法M27-A3およびM38-A2で実施した。Candida属の感受性の判定基準はCLSI M27-S3に従った。その結果,2012,2013,2014年に分離した各50株のCandida albicansに対するCPFGのMIC90はおのおの0.25,0.25,0.5 μg/mL,幾何平均MICは0.14,0.14,0.21 μg/mLであり,分離年による感受性の明らかな変化はなかった。また,Candida parapsilosisCandida glabrataCandida tropicalisCandida kruseiCandida guilliermondiiおよびAspergillus属のAspergillus fumigatusAspergillus flavusAspergillus nigerAspergillus terreusに対するCPFGのMIC90もしくはMEC90およびMICもしくはMECの幾何平均の各分離年間の変動は2倍以内であった。さらに,いずれの年においてもCPFGに対する感受性判定基準である2 μg/mLを超えるMICのCandida属の菌株(非感受性株)は存在しなかった。これらの結果から,2012年から2014年において,真菌症の主要起因菌であるCandida属およびAspergillus属のCPFGに対する感受性に明らかな変化はなく,耐性化傾向もなかった。

Key word

caspofungin, Candida, Aspergillus, antifungal susceptibility

別刷請求先

東京都千代田区九段北1-13-12 北の丸スクエア

受付日

平成28年7月8日

受理日

平成28年10月4日

日化療会誌 65 (1): 17-26, 2017