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書誌情報

Vol.65 No.2 March 2017

原著・臨床

成人市中肺炎治療におけるmoxifloxacinおよびgarenoxacinの有効性に関する多施設無作為化比較試験

今村 圭文1), 田中 章貴2), 田代 将人2), 西條 知見1), 山本 和子1), 宮崎 泰可1), 塚本 美鈴3), 泉川 公一2), 柳原 克紀4), 迎 寛1), 河野 茂5)

1)長崎大学病院第二内科
2)長崎大学病院感染制御教育センター
3)北松中央病院呼吸器内科
4)長崎大学病院検査部
5)長崎大学

要旨

 市中肺炎治療において,ペニシリン系薬やマクロライド系薬と並び外来治療の中心となるレスピラトリーキノロンのmoxifloxacin(MFLX)とgarenoxacin(GRNX)の臨床的有効性・安全性を比較する目的で,前向きの多施設無作為化比較試験を行った。対象は,2011年5月~2013年4月までの期間に長崎大学病院第二内科および関連病院12施設を受診した軽症または中等症の成人市中肺炎患者120例で,MFLX(400 mg/日)投与群またはGRNX(400 mg/日)投与群に無作為に割り付け,最長10日間経口投与し,有効性および安全性を比較検討した。
 投与終了5~10日後の有効性判定可能症例は111例(MFLX投与群54例,GRNX投与群57例),投与終了時の治療判定症例は111例(MFLX投与群54例,GRNX投与群57例),細菌学的評価対象症例は52例(MFLX投与群23例,GRNX投与群29例),安全性解析対象症例は120例(MFLX投与群59例,GRNX投与群61例)であった。主要評価項目の投与終了5~10日後の有効率は,MFLX投与群88.9%,GRNX投与群89.5%で,両群間に有意差は認められなかった。また,副次評価項目である投与開始3日後の早期有効率(MFLX投与群77.8%,GRNX投与群73.7%),投与終了時の有効率(MFLX投与群96.3%,GRNX投与群93.0%),細菌学的効果(MFLX投与群82.6%,GRNX投与群96.6%)においても,両群間に有意差は認められなかった。有害事象の発現率は,MFLX投与群27.1%,GRNX投与群31.1%で,重篤な有害事象を認めなかった。以上の結果から,軽症または中等症の成人市中肺炎の外来治療において,MFLXとGRNXの臨床的有効性および安全性には,有意な差違はないと考えられた。

Key word

moxifloxacin, garenoxacin, community-acquired pneumonia

別刷請求先

長崎県長崎市坂本1-7-1

受付日

平成28年7月11日

受理日

平成28年10月26日

日化療会誌 65 (2): 168-174, 2017