ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.65 No.2 March 2017

原著・臨床

日本人成人を対象としたClostridium difficileトキソイドワクチンの安全性と免疫原性

松岡 治1), Dhaval M. Patel2), 佐々木 津3), 岡 勇人3), 佐々木 亨4), Patricia J. Pietrobon2), Thelma Laot5), Alain Bouckenooghe6), Josemund Menezes6), Guy de Bruyn2)

1)医療法人平心会ToCROMクリニック
2)Sanofi Pasteur, PA, USA
3)サノフィ株式会社サノフィパスツールメディカル部
4)同 メディカルオペレーション部
5)Sanofi Pasteur, Manila, Philippines
6)Sanofi Pasteur, Singapore

要旨

 新規クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)ワクチンの免疫原性と安全性を検討した。この第I/II相試験では40~75歳の日本人成人を対象とし,C. difficileワクチン群(N = 67;進行中の第III相試験と同一製剤)とプラセボ群(N=34)に無作為に割り付け,0,7,30日目に筋肉内接種した。
 免疫原性について,トキシンAとトキシンBに対するIgGを酵素免疫測定法(ELISA)と毒素中和試験(TNA)にて測定した。トキシンA(ELISA,TNA)およびトキシンB(ELISA)の抗体陽転率(抗体価がベースラインから4倍以上上昇した被験者の割合)は,60日目までにほぼ100%であった。しかし,トキシンB(TNA)の抗体陽転率は14日目(42.9%)まで上昇した後,60日目(44.4%)まで上昇がみられなかった。ベースラインで血清反応陰性群では血清反応陽性群より免疫反応が遅かったが,トキシンB(TNA;14~60日目に16~18%)を除いて,60日目にはほぼ100%が抗体陽転した。
 副反応の発現率は,特定注射部位反応67.6%,特定全身性反応19.1%,非特定反応20.6%であった。副反応のほとんどは軽度~中等度であり,接種後3日以内に発現し,接種後3~6日以内に消失した。有害事象による試験中止や重篤な有害事象はみられなかった。
 以上から,C. difficileワクチンは日本人成人に対し高い免疫原性を有し,安全性に大きな問題はないことが確認された。

Key word

Clostridium difficile, vaccine, safety, immunogenicity

別刷請求先

東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー

受付日

平成28年8月8日

受理日

平成28年11月29日

日化療会誌 65 (2): 183-191, 2017