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書誌情報

Vol.65 No.3 May 2017

市販後調査報告

Linezolidの使用成績調査

湯淺 晃1), 佐藤 夫美2), 朴沢 博之3), 杉本 奈扶美1)

1)ファイザー株式会社エッセンシャルヘルス事業部門メディカル・アフェアーズ統括部
2)同 市販後調査企画マネジメント部
3)同 クリニカルインフォマティクス & イノベーション部

要旨

 リネゾリド(ザイボックス®)は,2006年4月,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のうちのリネゾリド(ザイボックス®)感受性菌による感染症患者に対する効能の追加承認を受けた。その後,2006年8月~2010年3月にリネゾリドの使用成績調査を実施し,全国127施設の医療機関より978例の調査票を回収した。安全性解析対象症例970例および有効性解析対象症例431例について安全性および追加効能に関する有効性を検討し,以下の結果を得た。
 (1)副作用発現症例率は16.8%(163/970例)であり,承認時までの副作用発現症例率55.00%に比較し低値であった。主な副作用の内訳は血小板数減少78件,貧血31件,血小板減少症26件,白血球数減少12件,骨髄機能不全8件,肝機能異常6件,重複感染および下痢の各5件であった。また,重篤な副作用は50例63件認められたが,そのほとんどが対処可能であり,未回復症例も原疾患や合併症による影響が大きいと考えられた。
 (2)重点調査項目として設定した造血器系の副作用について検討した結果,副作用発現症例率は高くなかったものの,適切な対応を行うために,「使用上の注意」にあるように,定期的な血液検査は必要であると考えられた。さらに,重点調査項目として年齢,体重および投与期間(投与量)の影響についても検討したが,新たな対応は必要なく,特記すべき事項はないと判断した。
 (3)有効性解析対象症例431例における臨床効果の有効率は,90.5%(390/431例)であり,承認時までのMRSA症例に対する有効率62.9%(39/62例)に比較して高かった。また,起炎菌ごとの有効率および消長率は,起炎菌のほとんどであったStaphylococcus aureusにおいておのおの,91.1%および77.0%であり,いずれも高率であった。
 以上,リネゾリドは実臨床における使用実態下で高い有用性を示すことが確認された。

Key word

linezolid, postmarketing surveillance, safety, effectiveness, MRSA

別刷請求先

東京都渋谷区代々木3-22-7 新宿文化クイントビル

受付日

平成28年11月4日

受理日

平成28年12月22日

日化療会誌 65 (3): 491-509, 2017