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書誌情報

Vol.65 No.4 July 2017

総説

重症熱性血小板減少症候群の診断と治療

安川 正貴

愛媛大学大学院医学系研究科血液・免疫・感染症内科学(第1内科)

要旨

 重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome;SFTS)は,2011年に中国で初めて報告されたマダニが媒介するSFTSウイルス感染による新興感染症である。日本国内でも2013年に初めて患者が確認され,その後西日本を中心に報告が相次いでいる。SFTSは,発熱,白血球減少,血小板減少,出血傾向,血球貪食症候群,播種性血管内凝固症候群などの臨床症状を呈する。SFTSウイルス保有マダニは北海道も含め日本全土にわたって生息していることから,今後SFTSは日本のすべての地域で発症する可能性がある。予防として,マダニに刺咬されないように注意することが大切である。また,ヒトからヒトへの感染が成立することから,ウイルス汚染物の扱いには細心の注意が必要である。SFTSの治療法は確立していないがファビピラビルの効果が期待されている。

Key word

severe fever with thrombocytopenia syndrome, tick-borne disease, favipiravir

別刷請求先

愛媛県東温市志津川454

受付日

平成29年2月17日

受理日

平成29年3月1日

日化療会誌 65 (4): 558-563, 2017