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書誌情報

Vol.65 No.4 July 2017

総説

抗菌化学療法認定薬剤師の役割と病棟専従薬剤師への支援―泌尿器科領域―

藤居 賢1), 吉岡 薫1), 國本 雄介1), 清治 翔伍1), 桧山 佳樹2), 高橋 聡3), 舛森 直哉2), 宮本 篤1)

1)札幌医科大学附属病院薬剤部
2)札幌医科大学医学部泌尿器科学講座
3)同 感染制御・臨床検査医学講座

要旨

 本邦において2016年に抗菌薬の適正使用に向けた8学会提言「抗菌薬適正使用支援(AS)プログラム推進のために」が発表され,ASの推進が強く求められている。現在,札幌医科大学附属病院では抗菌薬の適正使用に向けて,Infection Control Teamが抗菌薬適正使用支援ラウンドを行っているが,院内におけるすべての感染症患者をフォローするまでにいたっていない。全病棟に専従の薬剤師が配置されている状況を鑑みると,各病棟における感染症患者を細やかにフォローするためには,病棟専従薬剤師との連携が必要不可欠である。このような背景のなか,抗菌化学療法認定薬剤師は,病棟専従薬剤師への感染症治療介入支援と病棟専従薬剤師のスキルアップを図るという2つの重要な役割を担う必要がある。院内に発生する感染症のなかでも,尿路感染症は多くの診療科で発生し,その治療にはグラム陰性桿菌を中心とした腸内細菌に有効な抗菌薬が選択されている。しかし,近年,本邦においてESBL産生菌,キノロン耐性大腸菌,多剤耐性緑膿菌の報告も多数あり,これまでの抗菌薬治療では十分に効果を発揮できない症例も散見されるようになった。このような耐性菌発生の原因の一つに抗菌薬の濫用が挙げられ,耐性菌の発生を意識した適正な抗菌薬使用が強く求められている。抗菌薬適正使用を支援する抗菌化学療法認定薬剤師は,院内の抗菌薬適正使用の評価,病棟専従薬剤師への感染症治療支援,感染症治療開始から終了までの抗菌薬適正使用への介入が必要である。

Key word

infectious disease chemotherapy pharmacist, appropriate use, antimicrobial stewardship, urinary tract infection

別刷請求先

北海道札幌市中央区南1条西16丁目

受付日

平成29年1月30日

受理日

平成29年3月8日

日化療会誌 65 (4): 564-567, 2017