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書誌情報

Vol.65 No.5 September 2017

総説

ファビピラビル:ウイルスRNAポリメラーゼ阻害薬

古田 要介

富山化学工業株式会社事業開発部

要旨

 ファビピラビル(T-705;6-fluoro-3-hydroxy-2-pyrazine carboxamide)は,富山化学工業株式会社で抗インフルエンザウイルス活性を指標に化合物ライブラリーをスクリーニングし創製された薬剤である。ファビピラビルは,RNAウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を選択的に強く阻害する新規な抗ウイルス薬であり,その作用機序は,細胞内に取り込まれたファビピラビルが細胞内酵素により代謝・変換され,ファビピラビル・リボフラノシル三リン酸体(favipiravir-ribofuranosyl-5'-triphosphate)となり,RdRpを選択的に阻害するものである。また,ファビピラビルは広範囲なRNAウイルスにin vitroや動物モデルで効果を示すが,RdRpの触媒領域がRNAウイルス間で広く保存されることがこの現象を支持している。ファビピラビルは,既存薬耐性株を含むすべての型のインフルエンザウイルスに対して活性を示すだけでなく,出血熱の原因となるアレナウイルス,ブニヤウイルス,およびフィロウイルスなどの広範囲なRNAウイルスに対しても効果を示すことから,治療法の確立されていないRNAウイルス感染症の薬剤として期待されている。

Key word

favipiravir, antivirals, influenza virus, RNA virus, RNA-dependent RNA polymerase

別刷請求先

富山県富山市下奥井2-4-1

受付日

平成29年2月24日

受理日

平成29年3月15日

日化療会誌 65 (5): 736-744, 2017