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書誌情報

Vol.66 No.3 May 2018

総説

日米欧における抗微生物薬の略語の相違について

八木澤 守正

慶應義塾大学薬学部

要旨

 日本化学療法学会(以下,本会)は,欧米の関連学会に先駆けて1977年に抗微生物薬の略語を制定し,和文機関誌「Chemotherapy」(1995年以後は「日本化学療法学会雑誌」)に掲載される論文および本会が主催する学術集会における発表では,それらの略語を統一して使用することにより科学的な誤解や臨床上の誤用などの混乱を避けることとした。
 最初の制定時には抗微生物薬85品目の略語であったが,翌年には101品目の略語に増加し,以後,新規抗微生物薬の研究開発に応じて増加し続け,2017年では209品目の抗微生物薬の略語が「化学療法用語集」に収載されている。
 一方,米国微生物学会(ASM)刊行のAntimicrobial Agents and Chemotherapy(AAC)では2006年の投稿規定において抗微生物薬の略語が初めて制定され,以後,年次的に新規の略語が追加され,2017年には139品目の略語が制定されている。英国抗微生物化学療法学会(BSAC)刊行のThe Journal of Antimicrobial Chemotherapy(JAC)では153品目の略語を定めており,抗菌薬と抗真菌薬の略語はAACの定める略語と整合していて,米英間には相違がない状況である。ところが,それら米英の略語と本会が指定する略語は著しく相違している。
 抗微生物化学療法における国際化を図るうえで,本会が制定している抗微生物薬の略語が米英の略語と相違していることは好ましい状況ではなく,何らかの対応が必要であると考えられる。また,本会の会員がAAC又はJACなどの米英の学術誌に論文を投稿したりASMやBSACが主催する学術集会で講演したりする場合には,本会指定の抗微生物薬の略語を用いる代わりにAACとJACが定めている略語を用いるように周知徹底することが必要であると考えられる。

Key word

antimicrobial agent, antibacterial agent, antifungal agent, antiviral agent, abbreviation

別刷請求先

東京都目黒区八雲2-19-13

受付日

2018年1月9日

受理日

2018年1月30日

日化療会誌 66 (3): 373-385, 2018