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書誌情報

Vol.66 No.4 July 2018

原著・臨床

チェックリストを用いたsulbactam/ampicillin注からamoxicillin 500 mg/clavulanic acid 125 mg経口投与へ早期切り替え推奨の効果

上條 泰弘1), 篠原 章能2), 伊藤 隆哉1), 中野 和佳1), 保科 滋明1)

1)相澤病院薬剤センター
2)相澤東病院薬剤科

要旨

 sulbactam/ampicillin注の適正使用のために,経口抗菌薬への切り替えを検討した。介入方法として注射用抗菌薬から経口抗菌薬へ切り替えの目安となる患者の状態と推奨経口抗菌薬を明確化することで,経口抗菌薬へ切り替えが進むのではないかと考えた。まず,院内採用抗菌薬を2016年6月13日よりsultamicillin錠からamoxicillin/clavulanic acid錠に変更し,sulbactam/ampicillin注から推奨経口抗菌薬amoxicillin 500 mg/clavulanic acid 125 mg×3回/日へ切り替える目安のチェックリストを作成した。次に,2016年8月2日に各診療科の科長が参加する診療部会議にてチェックリストの内容を説明した。各担当医がsulbactam/ampicillin注投与3日目にチェックリストを確認して該当する場合には推奨経口抗菌薬amoxicillin 500 mg/clavulanic acid 125 mg×3回/日へ切り替えを推奨した。推奨経口抗菌薬(amoxicillin 500 mg/clavulanic acid 125 mg)への切り替え状況を診療部会議でチェックリストの説明前後で調査した。推奨経口抗菌薬(amoxicillin 500 mg/clavulanic acid 125 mg)切り替え率は対照群1.0%,介入群22.1%と増加した(p<0.01)。早期推奨経口抗菌薬(amoxicillin 500 mg/clavulanic acid 125 mg)切り替え率は対照群0%,介入群13.5%と増加した(p<0.01)。経口抗菌薬切り替えエピソードのうちamoxicillin 500 mg/clavulanic acid 125 mgに切り替えた内訳は対照群6.3%,介入群65.7%,早期経口抗菌薬切り替えエピソードでは対照群0%,介入群82.4%と増加した。本研究の結果から,注射用抗菌薬から経口抗菌薬へ切り替えの目安となる患者の状態と推奨経口抗菌薬を明確化することで経口抗菌薬への切り替え症例数の増加につながることが明らかとなった。

Key word

oral antibacterial agent, antimicrobial stewardship program, pneumonia

別刷請求先

長野県松本市本庄2-5-1

受付日

2017年5月22日

受理日

2018年4月23日

日化療会誌 66 (4): 513-520, 2018