Vol.66 No.5 September 2018
総説
日本の薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの目標と戦略
国立研究開発法人国立国際医療研究センター*
要旨
薬剤耐性菌が世界中に拡散し問題となっている。この問題が大きくなる一方で,新規の抗微生物薬の開発は停滞しており,近い将来には治療に必要な抗微生物薬が枯渇する可能性がある。これは医療そのものの持続性さえも危うくする大きな問題である。わが国では2016年4月に薬剤耐性(AMR)対策アクションプランが制定された。WHOのAMRに関するグローバル・アクションプランの5つの柱をもとに,国際協力という日本独自の6つめの柱を加え,6分野ごとの目標・戦略・取り組みが設定されている。本アクションプランの大きな特徴は,2020年までに達成すべき成果指標として数値目標を掲げている点である。このアクションプランではPDCAサイクルを導入することで,プランの実現を図っていく。
Key word
antimicrobial resistance, AMR, national action plan
別刷請求先
*東京都新宿区戸山1-21-1
受付日
2018年3月22日
受理日
2018年4月16日
日化療会誌 66 (5): 558-566, 2018