ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.66 No.6 November 2018

総説

One Healthの視点からみた動物および環境由来耐性菌の現状

田村 豊

酪農学園大学動物薬教育研究センター

要旨

 食用動物における抗菌薬の使用量は,ヒトで使用される量の約2倍と多いものの,近年,減少傾向が認められている。食用動物由来耐性菌は減少傾向にあるが,医療で重要視される耐性菌がしばしば検出されている。特に欧米で流行する家畜関連メチシリン耐性黄色ブドウ球菌やプラスミド性コリスチン耐性遺伝子保有大腸菌の動向は注視する必要がある。一方,ヒトと生活空間を共有する機会の多い伴侶動物から分離される腸内細菌科細菌は高頻度に基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)を産生している。さらに環境から低濃度の抗菌薬が検出されており,野生動物や下水処理水からもESBL産生菌が検出されている。したがって,医療で重要視される耐性菌は生態系で循環しており,2016年に公表された薬剤耐性(AMR)対策アクションプランに基づいたOne Healthによる耐性菌対策を推進することが重要と考えられる。

Key word

antimicrobial agents, animal, environment, MRSA, mcr-1

別刷請求先

北海道江別市文京台緑町582

受付日

2018年4月23日

受理日

2018年6月7日

日化療会誌 66 (6): 715-728, 2018